
オーストリア財務省
ACL を活用した効果的な税務監査
オーストリア財務省は年間1,100億ユーロを超える予算を受けて、オーストリア全土の課税および関税プログラムの調整を担っています。財務省の監査員は、厳しい時間的制約の中で、多様なコンピュータプラットフォームから受け取った膨大なデータを分析しなければなりません。オーストリアでは、企業も個人もすべて納税データを電子的に提出することになっていますが、そのフォーマットには規定がありません。財務省が税務監査の有効範囲を拡大し、確実な効果を上げる過程では、ACL の柔軟なデータ分析力が大きな役割を果たしてきました。4年間にわたるある大きな案件では、EDP(電子データ処理)監査チームはACLの強力なデータ分析機能を使用して税収の喪失を特定し、8,500万ユーロを回収するとともに、ホスピタリティ部門による何年にも及ぶ不正行為を阻止することができました。
お客さまの概要
ウィーンに本部を置くオーストリア財務省では、国および地方税務署を合わせて2,000人を超える監査員が従事しています。財務省では電子データの監査員および EDP 監査員のチームが組織され、毎月膨大な記録の審査を行うとともに、2~3年に一度包括的な業務監査を実施する必要があります。
「今回の不正行為を発見して阻止し、さらに財務省の税収の莫大な喪失を回復できたのは、ACL の技術のおかげです。また、EU 諸国に対する新たな監査基準の適用を受けて、オーストリア財務省は、ACL の分析機能を活用して継続的な監視と監査を行っていきます。」
Bernhard Kurz 上級 EDP 監査員
オーストリア財務省
適用業務
財務省の監査員は ACL を活用して包括的なデータ分析を行い、異なるさまざまなシステムで作成されたデータを効率的に比較することができます。
業務の課題:税収の喪失を発見すること
EDP 監査部門長である、財務省の上級 EDP 監査員 Bernhard Kurz 氏は、いくつかのパブやレストランが、ビール会社から密かに仕入れたアルコール類を客に提供して、適正な納税を逃れていると疑いを持ちました。「これらの取引は帳簿上には現れていなかったため、疑惑を裏付ける証拠を発見するのが非常に困難でした。ビール会社の帳簿とレストランの帳簿を相互参照するわけですが、容易なことではありません」と Kurz 氏は語ります。広範な調査を要することから、監査部門は特別なサンプリング方式に頼らずにあらゆるデータを分析できる、効率的な方法を求めていました。
「いずれの支所でも、監査チームは多様なコンピュータプラットフォームから送られたデータの処理に悩まされていました。ばらばらなフォーマットのデータを厳しい時間的制約の下で分析しなければならないからです」と Kurz 氏は説明しています。各監査チームは、まずオーストリアの主要なビール会社からそれぞれ納税データと財務記録を取り寄せ、ACL を使用して、この情報と過去の記録との比較対照を行いました。これによっていくつかの異常が発見されましたが、問題全体を明らかにするには、ビール会社の顧客リストを基に何千ものレストランやパブの記録を調査しなければなりません。
解決策:大量の税収の喪失を特定することで8,500万ユーロを回収
EDP 監査チームの疑いに基づいて、各地域の監査事務所に主なビール会社の納税記録と配送記録が送られました。監査員はこのデータを地元のパブやレストランのさまざまな記録と比較対照しましたが、すべての配送が記録されているわけではないと判断しました。そこで、ACLのデータ分析機能を活用して、注文から配送、支払までのプロセス全体から各取引を追跡し、食い違いを特定する、科学捜査的な監査手法が用いられました。
財務省の監査員が取引データを精査していく過程で疑いが裏付けられ、広範な帳簿外取引が行われていることが明らかになりました。レストランやバーが記録していたのは実際の入荷量のうちわずかで、最大40%の配送が記帳されておらず、アルコールが販売されていながら課税対象になっていなかったのです。その結果、レストランやパブの過少申告が常態化し、国の年間の税収に影響を与えていることがわかりました。
必要なデータに監査部門がアクセスし、各企業の記録を効果的に比較できるようになったことで、不正行為の継続が阻止されました。しかし財務省の監査員にはまだ課題があります。失われた税収を回収するには、計算の正確性を証明しなければならないからです。これについては、調査の過程でACL によって記録された監査証跡により、財務省は過少申告があった各企業との合意に持ち込むことができ、オーストリア政府は8,500万ユーロを超える金額の回収に至りました。
結果
オーストリア財務省は、ACL の技術によって次のような成果をあげました。
- 監査員が多数の企業のデータベースからすばやく情報を抽出し、監査リスクを分析して、取引データのテストを正確かつ効率的に実施できるようになりました。
- 1件の不正調査をもとに発覚した多数のレストランやパブの過少申告によって8,500万ユーロが回収された例をはじめ、企業の過少申告によって失われた税収を回復しました。
- 各地域の支所における監査プロセスが向上し、監査員が各地域内の企業データを100%調査し、より包括的かつ正確に、信頼性の高い監査を行えるようになりました。
